フォーク油面の違いでフィーリングは変わる?(上げる・下げる)ジムカーナや街乗り
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最終更新日:2020/04/14
バイク, 比較・検証系(雑学系) フォークセッティング, 油面
こんにちわ、紫摩(しま)です。
バイクのフロントフォークはオイルが入っており、バネの振動(動き)を抑制しています。
フォークオイル交換&オーバーホールは以前やりました。
関連ページ:CBR125Rのフォークオイル交換
その時にちょっと触れた『油面』ですが、3年間いろいろと実験してみてそれでどのように変わるか試したので参考までによろしくお願いいたします。
使用条件は以下の通り
- 減衰機構なしフォーク
- ジムカーナ仕様
- 160㎜(低め)~95㎜(高め)まで
- 紫摩走行
- 紫摩の感じたフィーリング
この条件を基に総合的に感じたことをまとめてみます。
フォークオイル、油面とは簡単に…
油面とはどういうものなのか、調べれば調べるほど難しく混乱してしまいますよね。
簡単に言えばフロントフォークのインナーチューブ(メッキの筒)の中に入っているフォークオイル(ダンパーの役目)の量を指し、フォークトップからの距離で測ります。
(Amazon)油面調整レベルゲージ
使うものはこちらの油面調整キット。減衰機構なしフォークのセッティングではめちゃくちゃ使用頻度が高いので一つ持っておくと便利です。
- 油面を上げる・・・オイルを増やす
- 〃 下げる・・・ 〃 減らす
この油面を変えるだけでフィーリングやハンドルの切れ方がかなり変わるので面白いです。
※カートリッジフォークの場合でも有効なセッティングです。
オイル量を変えるとどうなる?
まずは簡単にさわりだけ説明します。
油面を上げるとフォーク(筒)の中の空気の量が減ります。油面を下げると反対に空気の量が増えます。
空気もバネと同じような性質なので縮ませていくと二字曲線的に反発が強くなっていきます。当然フォークも奥の方で固くなるという仕組みですね。
では空気の量が少ないとどうなるでしょう。
注射器で考えると、すぐにパツパツに感じます。それだけ短い距離で反発が強くなります。
反対に油面を下げる(空気の量が増える)と反発までの距離が長くなる=フォークの沈み込みが深くなります。
ここまで理解できましたでしょうか。
油面を上げたときのメリットデメリット
まず油面を上げた場合から見ていきましょう。
この状態は空気量が少なくなりストロークの柔らかい部分が早くに終わる状態。
よって沈み込みの早い段階からフォークオイルの減衰が効きます。
- ハードブレーキによる過度な沈み込みを抑制できる
- ピッチングを抑えて落ち着いた乗り味にできる
- 1G’※で沈み込み量が減る
※人間がバイクに跨った状態
メリットはハードブレーキに対応できる
まず一番の特徴として空気量が少ないために反発が早い段階で来ます。
フロントブレーキを握って沈ませるとすぐ跳ね返ってきます。
空気バネレートが高くなり、ハードブレーキングに強くなります。
底付き(油面が低い場合の項目で記述)を防ぐにはいい方法かと思います。
ピッチングも小さくなるので安定志向、前のめり防止などのメリットが生まれます。
ブレンボ対向4ポッド+ダブルディスク仕様などの強力なフロントブレーキを思い切りかけても沈み切りにくいのでタイヤがロックしにくいといったメリットも考えられます。
じゃぁ単純に油面を上げれば上げるほどいいのかというとそうでもないのが難しいところ。
沈み込みの量が少なくなる
1G’時(シートに座った状態)で沈む量が少なくなるので、街乗りでのリバウンド量が稼げません。
急な凹凸で突き上げられたりまたスリップした際の復帰にも弱いです。
良くも悪くもフロント荷重をかけにくいです。
前につんのめる動きは抑制されますが、弱い荷重ではフロントが高く、スピードが上がってくるとアンダー傾向が強いです。街乗りにはちょっと向かないかもしれません。
当然、突き出しやリアサスとのバランスを合わせなければいけません。
油面を下げたときのメリットデメリット
次に油面を下げた状態=空気バネの量を増やした状態を見てみます。
- 油面を下げる=空気が増えるので全体的に柔らかく感じる
- 1G’時の沈む量も多くなる
- 反発の位置もフォークストロークの深いところに移動する
- あまりに油面が低いと底付きしやすくなる
メリットはフォークを縮ませやすくなること
空気バネの初期はかなり柔らかいです。
フォークを縮ませない状態(主に街乗り)では路面追従性もよくなる傾向があります。
スポーツ走行ではブレーキを掛けると一気に沈ませることができます。
細かいセクションで小回りさせたい時に有利になります。
その反面リバウンド量も多いのでふわふわした感じになり、その時にフロントのグリップが抜けることもあります。一度ふわつくと収拾が難しいです。
ジムカーナなどフロントタイヤへの荷重が強い場合は、柔らかすぎるフォークの場合底付き(フルボトムともいう)してしまうことも無きにしも非ず。
底付きするとフォークが傷むほか、フロントタイヤへの荷重移動が強すぎてスリップダウンの危険もあります。
油面を下げるとスッと沈みやすくなる
空気バネは減衰を持たないので一気に沈んでしまいます。
そして油面が低いためにストロークの奥の方で粘りやコシを効かせられます。
街乗りでは路面の追従性がよく、回頭性も良くなります。
ただし、フォークが上がったり下がったりしている症状が出やすいです。
その場合は恐らくプリロードが足りません。
空気がつぶれる、1G’で沈み込みが大きいため、プリロードをかけてサグ出しします。
※オーバーホールをほったらかしていると内部の空気が抜けて似たような症状になります。
デメリットはサスの動きが激しいこと
空気バネは減衰を持たないので、それだけだとどうしてもフワフワ動きます。
そして強くブレーキをかけるとフルボトム付近まで沈みます。
ブレーキングが未熟だとコーナーでフォークがぴょこぴょこ跳ねるようになり、ハードな切り返しで浮いてしまい、ハンドルがいきなり切れ込んでそのままフロントタイヤがスリップダウンしやすくなります。
サスを縮ませやすくメリハリの効いた速い切り返しができますがその反面扱いにくくなります。
フォークオイルの粘度
勘違いしやすいのが、油面を変えてもフォークのストロークスピードは変わりません。
フォークオイルの粘度はサスペンションのストロークスピード(動く速さ)を変えるだけと覚えていいと思います。
硬すぎても使いにくいし、柔らかすぎても使いにくい。
油面を下げた時のフワフワ感をフォークオイルで抑制しようと考えると曲がらない車両になってドツボにはまります。
色々試したけど結局、純正に近いほうがスポーツ走行でもいい感じでした。
初心者のうちは粘度をかなり上げて落ち着かせていたけど、レベルが上がってくるともっと速く動いてほしいって思って、粘度が戻っていきました。
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まとめ
フォークセッティングは好みとバランスなので正直答えが無いというのが結論です。
固いほうがいい、車高が高いほうがいい、またその逆も然り。
油面の調整は減衰機構なしフォークの場合、セットして走ってまた研究しての繰り返し。
結構頻繁に換えてTRYする必要があります。
基本的には純正値が一番バランスが良いのであまりむやみに変更する必要もないかなとは思いますが、多少の上下の変更で自分のライディングに合わせるのはOK。
3車種、油面基準値(減衰機構なしフォークの場合)
- CBR125R・・・121㎜
- CBR400RR(NC23)・・・96㎜
- VTR・・・・105㎜
これを見ると重い車種(ブレーキも強力)の方がフォークオイルの油面が高いことがわかります。その分ピッチングを抑えているという事でしょう。
SS(スーパースポーツ)の場合、車種にもよりますがフロント荷重がかかりやすい車種が多いので、その分、ピッチングを抑えてやると走りやすくなります。
ブレーキに対するストローク量、旋回時のフロントの高さを決めるのが油面のセッティングだと思います。
減衰の動き方(沈み込みや伸びの速さ)はフォークオイルの硬さで決まるので、この油面では関係ありませんがフォークバルブを入れることで減衰調整もでき、セッティングの幅がかなり広がります。
関連ページ:41Φフォークインナーバルブ取り付けレビュー|Mysimasima
という事で、あまりまとまった気がしませんが、油面のセッティング考察でした。
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