【元板金塗装屋が解説】缶スプレーでホイール塗装のやり方とコツ!作業で失敗してしまうポイントは?
こんにちわ、紫摩(しま)です。
ホイールのイメージチェンジで塗装したいけれど塗装料金も結構高いのも事実。
それならDIYでチャレンジしてみたいと思った方も多いと思います。
しかしDIY=安上がりで手抜きということではないのです。
しっかり理解してやってみれば意外にクオリティは高くもできちゃうのです。
今回はあまった軽自動車のホイールを塗装してみたので紹介します。
板金塗装の仕事をしていたので専門用語ばっかりになってしまいますが、なるだけ簡単に説明できるか、書いていきたいと思います。
ホイール塗装、缶スプレーでやってみる
手軽に缶スプレーで塗装できない物なのか?
結論→出来ます。
ただ、ガンでやるより確実に難しいですが、努力次第ですごくきれいにも塗れますので是非やってみましょう。
用意するものはラッカー缶スプレー
使用したのがこちらのカンペハピオ シリコンラッカースプレー。
カー用品店のカラースプレーは1,000円~2,000円位しますが、このシリコンラッカースプレーは市販の安い缶スプレーの中では非常にきれいな仕上がりと耐久性を持っているスプレーです。
ラッカースプレーで迷った方で安いのを探している方はこれをおすすめします。
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クオリティを重視するならホルツ製品
ソフト99もいいんですが、今まで使ってきた中で一番よかったのがホルツカーペイントです。
色もたくさんあって塗りのとまり(発色)や対候性もよくおすすめです。
今回の下地作業はどれも共通です。
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塗る前は傷の補修から
ホイールをオークションなどで中古で買ってきた物の中には傷が付いている物も多くあります。
そのまま塗装しちゃうと艶が出ても傷が目立つので仕上がりが残念になってしまいます。
サンドペーパーで傷を削る
傷の深さに応じてサンドペーパーの番手を選びます。
これ全て使うわけではないのですが、段階を追ってペーパー目を消していく感じになります。
- #60~#80 塗膜剥がし
- #120 パテ研ぎ粗目
- #240~#320 パテ研ぎ仕上げ
- #400~#600 サフ前足付け
- #600~#1500 水研ぎ、塗装前足付け
- #1500~#3000 塗装磨き ごみはね
傷がひどければとりあえず#100なんかも使って一気にボリボリいきます。
※これは傷で盛り上がった部分とえぐれた部分をなめらかにする作業のことです。
※画像はわかりやすく極端に描いています。(実際にここまでえぐれているとパテとかいう問題ではなくなる)
浅い傷なら出来るだけ底までなめらかに。深い傷はパテで埋めるのである程度で良いです。
傷ができる時に微量ながら角が“山”になって盛り上がるのですが、その“山”をサンドペーパーで削るわけです。
傷だけならいいのですが自動車のボディなんかはダメージが広範囲に出てへこんだりするのです。
パテで傷を埋める(そもそもパテって何?)
”パテ”って言葉はプラモデルをする人や補修業界の方以外、知らないほうが普通です。
ここで言うパテとは主剤(A)と硬化剤(B)を混ぜて固めるタイプの、いわゆる・・コンクリートみたいな物です。
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最近は使いやすいパテ、何でもありますね。
仕事でやるなら大量に必要ですが、個人でちょっとやるくらいならAmazonなどで売っているホルツなどのパテで十分だと思います。
パテの種類
- 粗目
- 中目
- 細目
- 仕上げパテ(薄付けパテ)
基本的にこのように分かれていて、作業工程や傷の深さに応じて使い分けます。
粗目ほど粒子が大きく厚盛りができ、強度も高いが仕上がりが粗く気泡の穴(巣穴:スアナ)ができやすい。
反対に仕上げパテになるほど粒子が細かく巣穴ができにくく滑らかにできますが、かなり薄くしか盛れないです。
関連記事:板金パテの種類
パテを削る(研ぐ)
モリモリに盛りたくなる気持ちはわかりますがなるだけ削る労力を軽くしたいので(削るのがめんどくさいので)材料の無駄遣いもありますし、形を意識して薄く盛ります。
これが研いだ(削った)後の感じです。写真が悪くて見えにくいですが、傷の中にパテが入り込んでなめらかになり、触っても段差が分からないほどになります。(段差があったらダメです)
次に”サフェーサー(サフ)”という液体のパテとでも言いましょうか、それを下塗りをします。
パテを削った時についた”ペーパーの跡”が荒いとサフで隠しきれないので全体を#320~#400で研ぎ、傷をきれいにならしておいてください。
サフェーサーを塗って水研ぎ
サフェーサー=「プラサフ」とか「サフ」とか言う、いわゆる液体パテです。
傷を研いだ場合はサフを塗って下さい。(研ぎ傷やパテの粗い部分を埋める役割)
この画像はホイール全体に傷があって、もう全体に塗ってますが、絶対全体を塗らなきゃいけないということは無いです。
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市販品の中では、ホルツのプラサフか超薄付けパテが使いやすくて僕はこれをずっと使っていました。(厚塗りはできない)
サフェーサーは用途に応じた範囲で塗る
※ホイールの色変えのみの場合、全体にサフェーサー(サフ)は塗らなくていい。
その後の水研ぎが大変になるだけ。上塗りの密着度が上がるというメリットはありますが“絶対”ではありません。
上の写真のように細かい隙間まで塗っちゃうとホイールナットの穴の中まで研がなければいけないのでめんどくさいしスポークの溝?隙間などきちんと研げてないとそこから色がはがれてしまうため、
全体に吹く場合は隙間にサフェーサーがかからないようにマスキングして塗る必要があります。(もちろんエアバルブキャップもマスキング)
次の工程「水研ぎ」はどうやるの?
水研ぎとは塗装前最終の研ぎ作業のことで、サフェーサーはそのままでは塗装できません。
平滑を出すのはもちろん、上塗り塗料の密着を高めるために足付け(傷付け)もしなくてはいけない。
しかもホイールはブレーキダストやら道路の汚れなどいっぱいついているので、しっかりと洗剤で油汚れ等を洗い流しておいてください。(+スコッチブライト使用)
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塗装用からキッチン用まで様々ですが、僕はどれでもいいと思います。
とりあえずスカッフソフト#600と#1500の2つがあればとりあえずは作業できます。
耐久性でいえば3Mのスカッフソフトがおすすめです。
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これも番手があって、濃色の場合や補修は1500番以上の物を使ったりします。
あとは好きな色に塗装
後もう一頑張りして塗装をします。
下塗り時の缶スプレーでは一気に塗らず細かく薄く重ねて塗ると表面がきれいになります。
- まず細かい部分を先に塗る(スポークの裏側、側面等)
- 上塗り(クリアーじゃなく色)はつやつやにする必要はないのでシュッ、シュッと軽く均一に塗る
- ムラが出ないように全体的に調整して塗る
パテを使って補修すると傷でズタズタだった事がわからなくなりますよね。ここまで直ると見栄えも十分ではないでしょうか?
重ね塗りする際の注意点
中央スポーク部分をゴールドに、リム部分をシルバーに塗ってみました。やり方は以下の通りです。
- シルバーを完全に乾かす(できれば完全硬化)
- スコッチブライトでスポーク部分を水を使わずに足付け。(多少リムに傷ついてもok)
- 塗る部分以外をマスキングしてゴールド塗装
- 最後に全体をクリアー塗装
手順はこんな感じなのですが、ここで失敗例をご紹介。
塗装失敗例
①マスキングをはがしたときにシルバーがくっついてしまった。
- 原因1→サフェーサーの研ぎや足付けが甘かった
- 原因2→シルバーの乾燥(硬化)が甘かった(丸一日は寝かせておきたい)
②色がいらないところまでついてしまった。
- 原因→マスキングに隙間ができてしまっていた。
というように塗り分けの場合は難易度が非常に高いのでせっかち&どんくさい僕には無理でした。
見た目はかっこいいんですけどねぇ・・
失敗→結局塗りなおし
いったん失敗してしまうと塗装の場合は基本的に途中からやり直せないので研ぎからやり直しになります。
へたに塗り分けするより1色で塗ったほうがきれいに仕上がったりしますw
この場合は結局、その日はあきらめて後日サンドペーパー#400で研いでサフェーサーを一部に塗りなおして、その後全体をゴールド単色に塗りなおしました。
要らない手間と労力とお金を使ったので疲れました。(ゴールド、もう一本購入する羽目に・・)
いかがでしょうか?これは全部缶スプレーでここまできれば十分かなと思います。
こちらは”艶消しクリアー”を吹いています。色のままだと耐久性が弱いのでクリアーを吹くのがおすすめです。
クリアーはシュー…ッと止めずに一定のスピードで、さらに往復させて塗ります。
下塗り(色)とクリアの塗り方は全く逆。
厚塗りはパリパリ剥がれるので禁止。
ツヤ具合を見て大体3~4回くらいで決めるように。
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塗装料金の違い
さて先ほども要らないお金を使ってしまったと書きましたが、では実際どれくらいの違いがあるのでしょうか。
塗装屋さんに出した場合
ホイール一本で約10,000円くらい。(工賃込み)
では、四本の場合は4万なのかというとそんなことはないのです。
塗る場合は一気に塗りますし手間賃も同時進行なので「塗料の量が増える分だけ」と考えれば塗るだけなら2~3万円くらいでできるでしょうか?
※これはショップの料金設定や使用塗料のメーカーやオーダーの仕方(単色or塗り分け)や傷の有無、本数、知り合い価格などで塗装料金はすごく変動します。
2、3万という例えはあくまで一例です。
DIYの場合
- 缶スプレー……一本1,000円~2,000円程度
- サンドペーパー……100均一であります
- マスキングテープ……100円
- パテ……2,000円~5,000円(買うものによる)
水研ぎセット、洗剤、スコッチブライトなどほとんど100均一で揃えることができます。
合計で4,000円~8,000円くらいですね。
この範囲で揃えればあとはDIYなのでお金がかからないというメリットがあります。
塗装屋さんに出す場合の注意点
塗装屋さんに出す場合、工賃を少しでも浮かせたい。
僕らがパテ作業や足付けやサフェーサーを事前にやっておいて『色だけ塗って下さい』と出したほうがいいんじゃないの!?と思いますが、
塗装屋さん側からすれば大迷惑らしいのです。
“店側のやり方がある”というのもありますが、補修が完璧にできていないと結局剥ぎ直して二度手間になります。
仕上がりをこだわる職人さんは他人の出来を信用しない(妥協しない)ので、それなら全てお任せするほうがいいのかもしれませんね。
サフェーサーなしでももちろん塗装できる
こちらは足付けのみを行い、サフを入れずに塗装をしてみたいと思います。
このガンメタはホルツのチャコールグレーパール(日産スカイラインGTRのカラーKH2)のカラースプレーを使っています。
やっぱこれが一番かっこいい。
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目立った傷もなく程度がいい場合&色だけ塗る場合はこのようにサフ作業を省いても大丈夫です。
時間と手間をかけても元がきれいなら仕上がりにはさほど影響しません。
同じ要領でこちらもサフ作業なしで塗装。十分です。
細かい部分から徐々に塗っているとことですね。
やはり仕上がりに関してはホルツの缶スプレーの方が絶対いいです。
値段は多少高いので躊躇してしまいますがすごくきめ細かく、きれいにできます。
まとめ
DIYのいいところは『お金があまりかからない事』ですね。
ただ当然根気と努力が必要になってきますが、自分でチャレンジして失敗するのも大事。
塗装屋さんの苦労や楽しみがわかるかもしれませんし、自分でやるべきかショップに出すべきかの判断もついてきます。
あと下地作業にプロ道具は必要かといえばそんなことはありません。100均一で揃えても問題なし。
その分、いろいろと工夫やテクニックが必要になってくる部分もあるかと思います。
僕の板金塗装経験談から皆さんのDIYの参考になれば幸いでございます。
今回はホイール塗装についての方法、コツの紹介でした!
関連記事
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>ラップ塗装にチャレンジ!やり方とうまくいくコツを紹介!
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