VFRが曲がらなくなったカスタム(HYPERPRO)不等レートフォークスプリング編。カーブで気持ちよく走りたい人には難しい
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VFR800F(整備・カスタム), バイク, バイクウェア・バイクグッズの紹介, ライテク系
こんにちわ、紫摩です。
今回VFR800Fにハイパープロのフォークスプリングを交換したブログを書いてきましたが、どうにもこうにもうまくいかないと思い、追記します。
それはセッティングが全く合わないのです。
「ジムカーナ用に作っていない」「高速道路をかっ飛ばす目的だ」「スポーツ向けではない」と言いたい人もいるでしょう。
今回、メーカー(ACTIVE)の基準値に合わせましたし、相談もしました。
更に街乗りでのインプレも踏まえて、よく使う部分でのお話です。
なぜハイパープロのスプリングが難しいのか
以下引用
ハイパープロ社が独自設計する『コンスタントライジングレート』をもつサスペンションスプリング。
サスペンションの動きに追従してバネレートが常に変化。柔らかすぎず硬すぎない状態を維持し、高負荷のコーナリングや急ブレーキ時も踏ん張る力を併せ持ちます。●フロントスプリングには必要量のフォークオイルが付属します。
●コーナー手前のブレーキング時におけるキャスタの変化を適正化し、次の動作に移りやすくします。コーナリング中の細かなギャップを吸収し、乗り手の邪魔となる振動をなくします。
●通常のスプリングと違い一定のバネレートがないため、共振することがありません。
●コンピューター制御の工作機械で巻き取られたスプリングにショット処理を施し、性能の劣化につながる表面の微細なキズを取り除きます。さらに、完成後には一本ずつテスターによる性能検査が行われます。
●ハイパープロ社の本拠地オランダでは、救急バイク全車にハイパープロのスプリングが装着されています。引用:ACTIVE
簡単にまとめます。
- 沈み量に合わせてレートが立ち上がる
- 初期は乗り心地、末期は踏ん張り
- 硬すぎず、柔らかすぎず、姿勢変化が少ない
リアスプリングは◎、フォークスプリングは×の理由
結論から先に申します。
- 曲がらない
- 反発凄い
- 切れ込む
- 前後バランス悪化
- 乗り心地はいい
- 振動がすごい時がある
※このハイパープロの不等レートが全て悪とは言ってませんし否定しているものではないし、リアスプリングはとても僕の好みです。
メーカーが謳っている硬すぎず柔らかすぎず、乗り心地が良くなる、姿勢変化を抑えるというのは合っていると思います。
ただフォークスプリングに関しては疑問です。
フロントは自分で沈み量をコントロールしたり、ハンドリングにも影響してしまいます。
まっすぐ走っている分にはいいと思いますが、、、。
VTR250に取り付けた時もかなり悩みました。
関連ページ:VTR250ハイパープロフォークスプリングのインプレ|Mysimasima
ストロークが短いから硬さが際立っている
この不等レートのメリットは柔らかいところと踏ん張るところが組み合わさってる所。
柔らかすぎず硬すぎず、というキャッチフレーズ。
しかしそのデメリットはストロークが短くなるところです。
確かに柔らかい乗り心地の良い領域はあると思います。
ただ、その柔らかいレートが低いところは、通常で路面の凹凸で沈む、ごく短い領域で終わります。
なんなら静止時に自重で沈む程度で終わります。
強い荷重がかかると通常よりレートが当然強くなります。
前ブレーキを握って揺すってもほとんど沈まないほど硬いばねです。
- ハイパープロサグ値・・・20㎜
- ノーマルサグ値21㎜~25㎜
※サグ値…静止時にあらかじめどれだけ沈んでいるか、というもの。
なので、ACTIVEのイメージ画像は正確ではないです。
極端にレートが立ち上がるので、油面を高くしたようなフォークで突っ張った感じが出ます。(黒線)
どちらかと言うと(スプリングが)縮む方には衝撃に耐える事が仕事であり、乗り心地は(スプリングが)伸びる方で対処してそうです。
よってシングルレートやツーステップレートよりも反発が強い感じがします。
振動が強い時がある
基本的に舗装路なら乗り心地が良くなる方向ではあります。
少し大きめの段差であればドコーンと言う大きいストロークではなく、ストンと言う感じでいなしてくれます。
ただ、ひどいのが荒い舗装路やわだちなどの連続した段差です。
スクリーンが振動してバリバリバリと動くぐらい。
これは共振でしょうか?プリロード調整を緩めると顕著に出ます。
メーカーの謳い文句とは少し違ってます。
ただ基本的な舗装路は乗り心地はいいです。
曲がらないフォークになる
このスプリングのもう一つの特徴として、突き出し量を純正から1㎝ほど多めに出します。
フロントを静止時から下げろという事。
なぜかというとストローク量が少ないから必然的に前が高くなります。
その分、突き出し量で調節することに。
通常の走行~コーナーではハンドルが勝手に切れるような前下がりなバランスにしておく必要があります。
さらにそこから沈むと更にハンドルが切れます。(アクセルオフなど)
ハンドルが切れるとバイクは直立になろうとします。
更に更に、沈むごとにレートが強くなるから反動で伸びる力も強く速くなります。
よってこのスプリングを使うと、どこからでもバイーンといった感じで戻ってきます。
要するに、まっすぐに戻ろうとする力が強いのです。
ACTIVEに質問してみた
内容は長くなるので端折りながら説明しますが、このブログのようなことを話しました。
すると回答は質問形式で返ってきます。
<①プリロード量に関しまして>
a.HYPERPROメーカー推奨値は5リング目(最もプリロードを掛けた状態から5リング戻し)ですが、
この時のフィーリングは如何でしたか。
b.プリロードの調整する際、どのようなフィーリングを求めて調整されていますか。
<②ロックナット位置に関しまして>
ロックナットが正しい位置にないと、伸側ダンパーの減衰力が正しく発生しない可能性があります。
質問に対して「街乗り~練習系走行で不満がある」といったコメント返しました。
①:フロントスプリングが入っていた箱はお持ちでしょうか。
箱にはスプリング番号のステッカーが外側に貼り付けられています。
その番号は「0894」でしょうか。②:添付の方法で計測した前後サスペンションのサグ値。
HYPERPRO社/当社では製品開発の際、この方法で計測した数値を使用しています。③:②のサグ値計測時のフロント/リア、それぞれのプリロードの状態。
フロント:調整リングの位置(最強から何回転戻し)
リア:[HPAアジャスターの位置] 又は [プリロード実測値]
今回、HPAを1回転戻されてから車輛に装着されてお見えですか。当社としましてもお役にたてるアドバイスをさせて頂ければと考えています。
その為にも②/③の情報を必要としております。大変お手数とは存じますが、是非ご協力賜りたくお願い申し上げます。
質問に対して以下のサグ値を伝えました。
5リング目・・・ハイ105㎜ ロー98㎜
※体重54kgで測ったサグ1G’で測ったが、
ACTIVEの回答はフロントのプリロードを下げるという事
お世話になっております。
スプリング番号の確認とサグ値、ありがとうございます。
早速、頂いた数値を開発部スタッフに確認してもらいました。以下、評価とセッティングに対するご提案です。
——————————————————————–
<評価>サグ値、リアショックのセッティング、ライダー体重からすると前後バランスの崩れが大きいと見受けられます。
——————————————————————–
<セッティングに対してのご提案>①純正スプリングカラーのカット
カット量:5mm~10mm
初期プリロード値をより減らしサグ値を増やす。
サグ値:25~30mm(参考)狙い:
●イニシャルを抜いて下がったリアに対する姿勢の補正。
●スプリング初期の動きを良くする②油面調整
先の①カラーカットを行った上で、ブレーキを強くかけた場合などFフォークのストローク後半(奥側)の”沈み”に
硬さが出るようであれば、油面を5~10mm下げてください。リアのセッティングに関しては頂いた数値を見るにHPA1回転/2回転戻し、どちらでもお好みで構いません。
リアのプリロード変更で変わった姿勢を補正するのに、フロントをセッティングするイメージです。——————————————————————–
これは当社開発部の裏話ですが当社デモ車をセッティングする際には、最終的なプリロード調整はアジャスター
1/8回転単位で行っています。
これはプログレッシブ特性を持つスプリングに共通して言える事で、調整に対する効果の出方がシングルレート
のそれより大きいため、より良いセッティングを見つける為には必然的に調整幅を細かくする必要があります。
これはかなり極端な例かもしれませんが、参考になれば幸いです。
要は、フロントのプリロードをもっと下げろという事です。
プリロードと油面を下げた結果…
※作業の詳しい内容はまた後日。
カラーを切断し、油面を下げました。
結果…静止時の前下がり感が増して切れ込むようになったが、ストローク感は良くも悪くも変わりませんでした。
通常の静止サグが増えて乗り心地はさらに良くなりました。
肝心の旋回は、車体を傾けるとハンドルがより切れようとするので車体が常に起きようとします。
それを抑えるために腕に力が入ってしまいます。
油面を下げて空気バネの力を弱くしましたが、スプリング自体の強い反発があるため、ドカンと沈むのではなくグググっと腰が出るので、危険性はまずないです。
・路面の入力ごとに適当に反発してほしいなら不等レート
まとめ
VFR800Fは“曲がらないバイク”と言うレッテルは全く改善しません。
それどころか、よりまっすぐツーリングを快適に走るバイクになってきました。
やっぱりスポーツ走行ではシングルレートのフォークスプリングが一番いいのかもしれません。
オーリンズのシングルレート、良いかも。次はこれを試してみようか…。
あくまでもハイパープロスプリングは、乗り心地優先でカーブは二の次感が強い。
ACTIVEは一言も【スポーツやストリートで曲がりやすくなる】とは言ってません。
どちらかと言うと大きい段差で底付きを防止するという目的が大きいか?
僕が練習系スポーツ走行で使いたいと言ってうまくいかず悩んでいたけど、メーカーは一切デメリットやウィークポイントを話すことはしませんでした。
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