ハイパープロのスプリングに交換!競技と街乗りでの比較レビュー。VTR250で使ってみた評価はまずまず
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最終更新日:2020/06/12
VTR250(整備・カスタム), バイク, 商品購入系 レビュー&インプレ, 比較・検証系(雑学系) サスセッティング, サスペンション考察, バネ交換, フロントフォーク
今回のレビューは『ハイパープロスプリング』です。
シングルレートのバネが主流の中、この有名メーカーのバネに換えてどのような挙動になるのか、街乗りは?スポーツ走行は?
結論から言うと、ストローク量が減って強い荷重にも耐えられるがスポーツ走行をするにはセッティングを煮詰めないと難しいというバネです。
そしてこのファーストインプレッションと、技術が上がってきた後のインプレではだいぶ評価が変わってきました。
初めは「これは使えない」⇒レベルやセッティングが決まってくると「あれ?めっちゃいいかも?」
僕の主観ではありますが人柱になっていろいろと調べてみましたので理由も併せて紹介します。
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ハイパープロのスプリングの特徴
このスプリングはどのようなものなのか簡単に紹介。
メーカーは次のように謳っています。
ハイパープロ社が独自設計する『コンスタントライジングレート』をもつサスペンションスプリング。
サスペンションの動きに追従してバネレートが常に変化。柔らかすぎず硬すぎない状態を維持し、高負荷のコーナリングや急ブレーキ時も踏ん張る力を併せ持ちます。
うーん。抽象的でよくわからないが、何やら超高性能スプリングのニオイがする!
わかりやすく噛み砕いてみていきましょう。
コンスタントライジングレートとは
画像引用元:ACTIVE
メーカーが激推しする『コンスタントライジングレート』とはアクティブ社がつけたネーミングで、要は無段階レートで一定のバネレートが決まっていないバネがということでしょう。(プログレッシブレート)
VTRとかの純正バネも似ていますがあれはツーステップレートというらしい。
ハイパープロスプリングのメリット
この無段階レートの意味がちょっとよくわからないのでアクティブに直接質問してみました。
Q:『コンスタントライジングレートスプリング』とありますが、基本的に柔らかく、最後で急激に硬くなるような感じでしょうか。
純正よりも実質的にストローク量が減るので安定した乗り心地にな
ハードなブレーキングをするスポーツ走行では逆につっぱってしま
A:コンスタントライジングレートはバネの巻き数を徐々に変更する為、どちらかと言えば急激な変化ではなく柔らかい変化となります。
純正よりもショックの吸収が柔らかく、ハードなブレーキではしっかりとした踏ん張りを取れるので安定した乗り心地を得る事ができます。
…うーん。まだよくわからない(笑)
「乗り心地が良くなる」とは?
つまり、
- 弱い入力では優しく、よく動く
- 強い入力では踏ん張って底付きしない
- バネレートの変化がマイルド
メーカーカタログと僕の第一印象でまとめました。
という事は街乗り重視なスプリングという感じでしょう。
細かな追従性を活かしながらハードブレーキ時にも耐えられるいい所取りのバネと言えそうです。(文章では。)
ハイパープロフォークオイルが付属
このバネを買うと、もれなく専用(?)フォークオイルが付属で付いてきます。
そして細かい説明が記載されているセッティングマニュアルもついてきます。
【VTR250の場合】
- ハイパープロフォークオイル#10(粘度 41.7)
- 油面:上端から150mm※
- その他は純正値に準ずる
※ただし、体重10kgに付き±10mm増減
純正がHONDAの10番(粘度35.2)で油面が105mmなので、これは結構油面が低く設定されています。
理解力がないため、またまた質問してみました(笑)
Q:説明書の中に『
A:ハイパープロのスプリングを使う場合、油面の設定に特徴が出ます。スプリング自体で徐々にレートが変化していきスプリング単体で奥のコシを出せる為、
油面が通常設定よりも低いです。(エアバネの仕事が通常より少ない為)粘度は弊社で判断した数値になります。
一度使って頂いて仮に合わなかった場合、多数粘度設定を揃えていますので、そちらをお求め下さい。
とても親切に教えてくださいました。
フォークオイルに頼らないバネ?
誤解を恐れずに説明すると、要はスプリングの無段階レートが沈み込み易さと踏ん張りを兼ね備えているので、極端に言えばフォークオイルで奥のコシを出す必要性がない感じだと思いました。
- 粘度→ストロークスピードの調整
- 油面→ストローク後半のコシ(踏ん張り感)
高いとストロークの量が減る。下げるとその逆
フォークオイルの事を話すと趣旨からずれて長くなるのでやめますが、メーカー推奨セッティングでは油面を下げて弱い衝撃にはよく動かし、強いブレーキング時に奥で踏ん張れるようにするというセッティングと見ました。
ハイパープロスプリングのレビュー
さて、ここまで特徴を見てきましたがいわゆる弱い入力でも強い入力でも対応でき、かつ乗り心地もよくなって言うことなしのハイパーなスプリングという印象ですが、実際の使用ではどうなのか。
日常使いとジムカーナ(スポーツ走行)で違いを比べてみたので参考にしてみて下さい。
【スプリング自由長データ】
- VTR250用・・・・330mm
- NSR250R用・・・305mm
この他は純正と同じ長さとは限りませんので参考までに。
VTR250純正との比較
(上が純正、下がハイパープロ)
ぱっと見はあまり変わっていませんが、バネ自体(線径)が太いです。ということは硬い&反発が強いということと、巻き数も全然違います。
- 純正・・・・粗17+細10の計27巻き
- ハイパープロ・・・・・32巻き(不等間隔)
巻き数が多くなればセオリーではバネレートは柔らかくなります。
バネ自体が太くて単純に硬くなるというよりは、バネ自体が重くフィーリングはしっとりとマイルドな方向になりそうです。
(バネの重量も動きに関わってきますが、ここでは省きます。)
乗り心地が良くなる
メーカーの謳い文句通り乗り心地はよくなりました。
そもそも『乗り心地』って何!?
人それぞれかとは思いますが、ここでは路面の追従性について。
このバネは追従性がすごくいいのか、大きめの段差を超えた時も衝撃がかなりマイルドになります。突き上げ感があまりないです。
あと空気バネも多いのでそれも相まってストロークの浅いところでは結構柔らかめです。
なので交差点のUターン、山道のワインディングなど凹凸の多いところでかなり接地感が出ます。
逆にフォークオイルを硬くしたり油面を上げると路面追従性は悪くなります。
踏ん張りが効く
続きになるかもしれませんが、乗り心地を良くしようと減衰を抜いたりプリロードを抜いて柔らかくすると瞬間的に強い入力の時に踏ん張れないので底付きしたりフワフワと不安定になってしまいます。
今まではフルブレーキなどの強めのサスストロークで沈みすぎることがネガティブな面になっていましたが、ハイパープロスプリングではそれが無いので思い切ってブレーキをかけることができます。
恐らくですが、柔らかい部分を過ぎるとかなりバネレートが高く変化してしまい、めちゃくちゃ硬くなる気がします。
ちょっとくせが強いバネ
スプリングがシングルレートならばバネレートは一定なので沈み込みに“比例”して硬くなる一方で、ハイパープロのスプリングは不等間隔となるため沈み込むにつれバネレートが二次曲線的に上がっていきます。
サグ(1G時の沈み量)が多めで、後半は高レートになるため沈まなくなり、実質上ストローク幅が短めになります。
確かに純正っぽいと言えばそうなのですが、バネレートが高くてストローク後半は全然沈みません。
リバウンドが気になる
ストロークの奥の方でレートが強くなるので底付きを起こすことがなく、ハードなブレーキングでも耐えてくれるのは◎。
ただ、レートが奥で強くなるということは同時に反発も強くなるので、例えばブレーキングした後に微妙に浮き上がりを起こします。
フロントブレーキをじわっと離しただけでボヨンとリバウンドする症状が出てしまいます。これではスポーツ走行は不向き。
セッティング変更してみる
競技に限った話ではありますが、フロントが浮き上がる、安定しない、跳ねる…
これでは縮めたフォークのコントロール(ブレーキコントロール)ができませんし、フロントタイヤのグリップも抜けてしまいます。
この症状を消すためにいろいろと試行錯誤をして頭を悩ませることになりました。
フォークオイルを硬くする
変更前 | 変更後 | |||
---|---|---|---|---|
フォークオイル | ・ハイパープロ10 (粘度35.2) ・カワサキ G15 (粘度49.5) | ワコーズFK10 (粘度33.6) | ||
油面 | 170~150mm | 130mm | ||
PDバルブ | 2回転増し | 初期値に戻す | ||
プリロード | 5mm | ±0mm | ||
フォーク突き出し | ±omm | 4mm |
フォークオイルの仕事はスプリングの振動を抑制すること。
リバウンドが気になるならフォークオイルの粘度を上げて、単純に伸び側スピードを遅くすれば粘ってくれるはず。
(減衰付きカートリッジフォークの場合は伸び側(リバウンド)減衰を強める。)
粘ってはくれますがフォークオイルの番手を上げる(硬くする)と沈み込みスピードまでも遅くなるので動き全体が渋くなりがちです。
このハイパープロの推奨油面がもともと割と低く設定されていて空気バネが多いため、初期の動きには悪影響が出にくいのかと思われます。
油面を上げる
オイルを硬くしてフォークの粘りを狙ったのですが、結局リバウンドの症状はあまり変わらず。
硬くしてもダメならオイル量を増やしてみます。(油面を上げる)
初期の沈み込みが減ります。フワフワ感が減るイメージです。
デメリットとしてはサグが減ってフロント上がりになってしまいますので、フォークの突き出し量を変えて調整します。
また、油面を上げると基本的には空気バネの反力が強くなるので、リバウンドも強くなる方向ではあります。
油面を下げる
VTRの推奨油面は75kgの体重のライダーで150㎜です。
55kgの人なら170㎜になります。
ここで油面を下げ過ぎると一回沈んだ後のリバウンドがまた強くなってきます。
最大沈み込み時の跳ね返りは少ないものの、弱い時のフワフワ感が強調されたような気がします。
関連ページ:油面の調整、フォークオイルの交換方法|mysimasima
フォークバルブのセッティング
僕のVTRはPDバルブというフォークインナーバルブが入っています。
バルブが閉まっている通常時はあまり沈みまず、強い入力で中のバルブが開くとサクッと沈むようになります。
関連ページ:フォークインナーバルブのレビュー|mysimasima
これをつけることによって弱い入力時のフワフワ感を消し、なおかつフルブレーキ時には早く沈ませたい、かと言ってサスの底付きは避けたい。というわがままに対応できるセッティングが見つかったような気がします。
【2020年追記】
このフォークインナーバルブでの減衰がほぼかかっていない状態であったため、リバウンドも強く出ていたのではないか、と推測します。
フォークインナーバルブの減衰をかなり掛けると「何だめちゃくちゃ良いスプリングじゃないか?」という印象に変わりました。
確かにメーカーは純正フォークに合わせて仕様を出してきてますから、フォークインナーバルブやフォークピストンに加工した足回りに合わなくて当然だなという感じ。
また2年ぐらい時間がたってるのでこれからまたセッティングを見直していかなければいけないです。
まとめ
長くなりましたがハイパープロスプリングのレビューでしたがいかがだったでしょうか。
人の好みもあるとは思いますが沈み始めはソフトなので街乗り、ツーリングであればかなりいい感じでしょう。
純正スプリングだと底付きや沈み込んで切れ込みすぎるという感じでしたが、ハイパープロスプリングではそれが無くなったことが一番大きいです。
ただ、旋回中にフロントブレーキをすぐ放してしまうとすぐ浮いてくるので、難しいスプリングであることは間違いなさそうです。
リアスプリングも付けてみましたのでそちらの記事も参考にしてみてください。
関連ページ:ハイパープロ リアスプリング取り付け|Mysimasima
メーカー推奨値が完璧と思わない
結局、僕の場合はセッティングや走行技術が伴わないと、いいスプリングも台無しにしてしまう。と言う感想でした。
逆にいろいろとセッティングを変えて自分に合わすことである程度どんな状況にも対応できます。
ツルシ(初期値)で終わらせず、自分とシチュエーションに合わせてやる必要があるかなと思いました。
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