*

【フロントフォーク突き出し量調整】Uターンがやりやすく切れ込みも速いがメリットとデメリットがある

公開日: : 最終更新日:2020/09/27 CBR125R(画像・整備・カスタム), バイク, DIY

CBR125R 突き出し量
こんにちわしまです。
今回のCBR125R整備は『フロントフォークの突き出し量調整』です。ここを調整すると乗り味が変わって車体の動きを自分流に合わすことができます。
調整方法とどう変わるのか紹介します。

SPONSORED LINK

バイクのフロントフォーク突き出し量とは

cbrインパネ
まずなぜこの調整が必要なのか理解しておく必要があります。

フロントフォーク突き出しとは、TOP画像にもあるようにハンドルの上にフロントフォークを突き出させて調整することで切れ込み具合を変えるというもの。

キャスター角が変わると走り味が変わる

キャスター角とは車やバイクのサスペンション(ショックアブソーバー)の取り付け角度のことで、 寝ていけば寝ていくほどホイールベースが長くなり直進安定性が増します
高速道路を優雅に走れるクルーザーなどはキャスター角が大きく、フロントフォークがすごく寝ているのですごく安定していそうです。

逆にキャスター角を浅くする(起こしていく)と今度はホイールベースが短くなりクイックなハンドリングになります
これは直進安定性とトレードオフになってしまいます。

※正確には”キャスター角”はフロントフォークの角度とはイコールではありません。(下で説明)

キャスター角とトレールの関係

cbrのコピー
まず、画像を見てほしいのですが、赤線で示した部分がフロントフォークの傾き。(後ろ側はフォークヘッドチューブ)
このヘッドチューブ(取り付け位置)の延長線上とホイールの中心線の角度(緑色の部分)がキャスター角、地面との交点の長さ(青線)がトレールということになります。

  • キャスター角………ヘッドチューブの角度(フロントフォークの角度ではない)
  • トレール……………ヘッドチューブ延長線と地面とタイヤ設置点の長さ

このトレールが長ければ長いほど直進安定性が高くなり短ければ短いほど旋回性が高まります

※原理の話はカテゴリー違いと長くなるので割愛。

突き出し量を変えるとトレールが変わる

今回は突き出し量を増やす方向で調整しました。ハンドル位置が下がる方向なのですが、逆に言うとタイヤホイールが斜め上に短くなるという事。
すなわちホイールベースが短くなり若干キャスター角も浅く、立つ形になります。
そのためトレールが短くなり、結果的に倒れ込みやすいハンドリングになるというわけです。

突き出し量を長くする⇒クイックなハンドリングになる
突き出し量を短くする⇒直進安定性が高くなる

CBR125R突き出し量調整方法

というわけで乗り味を変えるフロントフォーク突き出し量調整の方法をCBR125Rで説明していきたいと思います。
トップ/ボトムブリッジのボルトは緩めすぎると車体が一気に沈みますので注意

必要な工具

  • 12mmのボックス(またはメガネレンチ)
  • 6mmヘキサゴンレンチ(ボックスが良い)
  • ノギス
  • ジャッキ
  • リアスタンド

リアスタンド、ジャッキアップの必要性

ジャッキポイント
効率よく作業をするためにリアスタンドがあれば使ったほうが左右均等に車重が乗るのでよさそうです。
あと車体の沈み込みを緩くするためにマフラーにでもジャッキを当てておいてください。(やりすぎると倒れます)

①ボトムブリッジのボルトを緩める

ボトムブリッジ2

順番はいろいろありますが、まずは写真中央の12mmのボルトを緩めます。ここを緩めてもまだフォークは落ちてはきませんが適度に締めておくことをおすすめします。

長いラチェで緩める
長い柄のラチェットを使うと力が入るのでいいかと思います。
ここは結構高トルクで締まっていますので短いタイプだときついかもしれません。あと場所が狭いので車体によっては倒れない程度に軽くハンドルを切って作業する必要があるかもしれません

②トップブリッジのボルトを緩める

トップブリッジ ボルト
トップブリッジに留まっている12mmのボルトを緩めます。
ここも狭いので他に傷をつけないように注意です。

緩めると「スッ」という感じで落ちます。(落ちるのかフォークが伸びているのかわかりませんが)
一気には下まで落ちませんがやりすぎると戻すのが大変になります。

落としすぎたときの対処法

突き出し量
落としすぎてみました。このようになると上に引き上げなきゃいけません。フォーク(フロントショック)を手のひらで押し込みトップブリッジを挟み込む感じで引き上げます。
一人でもできますが二人いればなおの事作業がはかどることでしょう。

ノギスで正確に突き出し量を量る

ノギスでチェック
ここだと思うところで軽くボルトを締めて一旦測ります。
うちの工具棚にはデジタルノギスがありました。ものさしで測ると絶対にずれますのでノギス推奨です。
ノギスのいいところは設定した幅で固定ができる事。何度でも調整してもすぐ測り直せるのがいい。

純正の突き出し量は32mm

CBR125R 純正 突き出し量
ちなみに、純正の突き出し量はトップブリッジからフォークの先端までの長さが32mmです。
やりすぎたときに目安で覚えておいてください。

ノギス
今回は15mmに調整。結果的に目標数値になればいいのでどこで測ってもよいです。
目標数値で調整できましたらトップ/ボトムブリッジのボルトを増し締めてください。
初めは一気に調整せず5mmや10mm位で走って車体の動きを見てもっと増やすか、このままでよいか決めましょう。

ハンドルを下げて終了

ハンドルを緩める
今回はCBR125Rのセパレートハンドルという事で最後に左右のハンドルを下げます。
純正であれば切りかき(ツメ)がついているので角度が固定されていてずれることがありませんが、社外品などに換えている場合はきちんと印をつけておく必要がありますね。

6mmヘキサゴンレンチを使う

トルクス ヘキサゴン 
ここのボルトはものすごく固いので、L型の6角レンチでは力が入らず緩みません。そもそも、しなって曲がりそう。
そこで僕は諦めてこのヘキサゴンレンチ(6mm)と柄の長いラチェットを使いました。これは¥600ほどで買えますのでホームセンターによってみてください。
※ヘキサゴン=6角という意味

調整後の感想

CBR125Rは純正だとなんだか小回りがしにくい感じだったのですが、突き出し量10mmでもすごく切れ込むようになりました。
とくにUターン時にわかりやすく、倒れ込みやすいというか体重がすっと乗る感じ。
さすがにカブの取り回しには負けますが軽い車体も相まってひらひらと倒し込めるようになりました。

3~5㎜ぐらいが無難かも。

CBR125R突き出し量2
最終的にこのようにハンドル上にフロントフォークが突き出るので『突き出し量調整』といわれています。簡単に乗り味を変える調整という事でサスペンション交換をせずとも取り回しが楽になります。

メリットの旋回性とデメリットの直進安定性

旋回性を上げるということはフロントフォークも立ててキャスター角を浅くするのですが、その反面”直進安定性を犠牲”にすることになります。

僕が走った感想としては「それほど悪いとは体感できない」という感じ。加速時や減速時に車体がぶれることはほとんど無く純正と大差ありません。
もし目をつぶって走ることができたなら調整したのかどうなのかわからないレベルだと思います。
たかが15mmですが、取り回し(特にUターン時)が楽になるメリットの方が大きいと感じました。
きついコーナー(細い道や交差点)では倒れ込みが速くスッと曲がれます。ここが一番変わった点でしょうか。

逆にスピードが落ちない緩いカーブでは車体が不安定な感じが否めません。
ふらつくというかグリップ感が気薄というか、「滑ってしまいそう」な印象を受けました。

やはりこれは安定性を取るか日常使いの取り回しに重きを置くかということになりますね。(15mmはちょっとやりすぎた感…)
ツーリングメインのバイクなら特に調整する必要はないかもしれません。

以上、今回はフロントフォークの突き出し量調整方法でした。

SPONSORED LINK

関連記事

バイク用エンジンオイル カストロール

【安いオイルと高いオイルの違い】バイク用エンジンオイルは粘度だけで選ぶのがダメな理由!

こんにちわ、紫摩(しま)です。 エンジンオイル交換って実はかなり重要なメンテナンスなのに、

記事を読む

コーディング x-mal ONE エックスマールワン

初心者必見!お手頃ガラス系コーティングでバイク輝く美しさ!エックスマールワンS192

前回のブログ、【エックスマールワンで秒でピカピカに】っていうブログでコーティングのお話を軽く

記事を読む

ZX-25R フェンダー 才谷屋

ZX-25Rリアフェンダー「才谷屋」に交換、取り付けだ!カーボンじゃなく黒ゲルの理由

こんにちわ、紫摩(しま)です。 ZX-25Rのカスタムをしないしないと言い続けていましたが

記事を読む

CBR125R 女子ライダー

CBR125Rに7年乗った感想『手放さない理由』GSX-R125とスペック比較 

こんにちわ、紫摩(しま)です。 このサイトのメインバイクでもある“CBR125R”をもうか

記事を読む

グロム ウインカー交換

グロム転倒、立ちごけしてウインカー破損!キタコ ワレンズ交換手順とその後

こんにちわ紫摩(しま)です。 グロム、MSXで転倒するとウインカーが壊れますよね。 ジム

記事を読む

ハイパープロ スプリング ZX-10R

【ZX-25Rリアサス】ハイパープロスプリング②走行インプレと乗り心地

こんにちわ、紫摩です。 前回のブログは、ZX-25RにZX-10Rのサスペンションを付けて

記事を読む

P6271196

バイクタイヤ【ロッソ4】半年レビュー 安いのにハイグリップと同じレベルで使える!

こんにちわ、紫摩(しま)です。 先日VFR800Fのタイヤをピレリのロッソ4に交換したとい

記事を読む

ハイパープロ VFR800F フォーク スプリング

【VFR800Fバネ交換】ハイパープロフォークスプリング!インプレとバネのセッティング豆知識

こんにちわ、紫摩です。 僕は以前からVFR800Fは「動きが悪い」とか「曲がらない」とか「

記事を読む

バイク 安全競技 練習

最後の安全競技大会!ついに3位表彰台だったので各セクションのコツなどを紹介

こんにちは、紫摩です。 かくかくしかじかで、最後の安全競技大会の参加になりました。 兵庫

記事を読む

トライジムカーナ第3戦 VTR250

しま、VTR250ジムカーナ大会に挑戦記!(トライジムカーナ岡山大会、ダンロップ杯愛媛大会)2016年のまとめ!

こんにちわ、紫摩(しま)です。 8月にVTR250を購入してレストアやら整備やら始めて早3か月

記事を読む

スポンサードリンク

コメントを残す

スポンサードリンク

コミネブーツ バイク 靴
【教習指導員も使ってる】KOMINE(コミネ)バイクブーツレビュー バックジッパーブーツK202

こんにちは紫摩です。 ある程度安全運転に興味が出てきた人が注

警音器使用
【クラクションを鳴らされた時は?】教習者にイライラ!警音器の正しい使い方を指導員が解説

教習所で先生をすることになった紫摩です。いつもありがとうございます

ぱくたそ
【右直事故】悪いのはどっち?バイク乗りの○○が原因だった…教習指導員になって思う事

こんにちは、紫摩です。 転職して自動車学校で安全運転を教えている

バイク 安全競技 練習
最後の安全競技大会!ついに3位表彰台だったので各セクションのコツなどを紹介

こんにちは、紫摩です。 かくかくしかじかで、最後の安全競技大

中負荷時 ハイパープロ
【HYPERPRO】フォークスプリングのおすすめセッティングと失敗例 VFR800Fで検証

ハイパープロのサスペンションの考察、次はフロント側、フォークスプリ

VFR800F
【朗報】体格に合わないバイクの正しい乗車姿勢を解決する方法!ポジション調整で乗りやすくなる

こんにちは、紫摩です。VFR800Fのカスタムブログを書いている者

VFR800F ブレーキ ホース交換
【ABSバイクのステンメッシュホース交換方法】必要な道具と作業の注意点…VFR800Fアップハン化に伴う延長加工

こんにちは、紫摩です。 今回はVFR800Fのアップハンドル化に

VFR800F クラッチホース
VFR800Fのステンメッシュクラッチホース!交換後➜半クラのタッチがめっちゃ良い!ステンレスメッシュの注意点

こんにちは、紫摩です。 VFR800Fのカスタム記事を書いて

ぱくたそ
Xで炎上!?【自動車の幅寄せvsチャリのすり抜け】の是非!車が交差点で左折時にブロックするのは正しいのか?自転車との事故防止やマナーを考える

こんにちは、しまです。 某Xで話題になっていました『自動車の

VTR250
【また故障バイクを手に入れた!】VTR250の状態とバイクのレストアについて

こんにちは、紫摩です。 以前にもVTR250を格安で購入してレス

→もっと見る

  • 最新記事をメールで通知。

PAGE TOP ↑