VTRホイールベース短縮のメリットは?スイングアーム削り加工でチェーンのコマを詰める
公開日:
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最終更新日:2020/03/21
VTR250(整備・カスタム), ジムカーナ関係, バイク, 日記, DIY
こんにちわ、紫摩(しま)です。
VTRカスタムで流行っている?スイングアーム短縮加工を僕もやってみました。
主にモタードバイクが小旋回を得るためにホイールベースを短くするという理由で切断~溶接加工するのが一般出来でしょうか。
VTRも簡単な加工でそれを再現できます。
ただ、結論から言うといい面もあれば悪い面もある、やらない方が結果的にいいかも、という感じに思いました。
作業内容などの写真を撮りましたので参考にしてみてください。
スイングアーム短縮加工、手順
単純な話、リアタイヤのアクスルシャフトの穴を前方に削り加工してやると、タイヤ数センチ前に寄せることができます。
よってホイールベースが短くなるという仕組み。
でもメーカーがこのホイールベース、このスイングアームの長さ、リアサスの角度などを決めているという事は・・・・
お分かりですね、あまりメリットが無いという事です。
それでもやるよという方は是非どうぞ!
ディスクグラインダーやリューターなどを駆使して前に10㎜広げましょう。
ちゃんとメジャーで計って左右同じにします。
最後は棒ヤスリを使って形を整えたらとりあえずは完成。
形が歪んでいないか端は斜めになっていないか、後端からの距離は左右で合っているか確認してください。
チェーンアジャスターのナットが取り付けできない
VTRのチェーンアジャスターはスイングアームの後端に調整ナットとロックナットの二つで取り付けしていますが、チェーンテンショナー(スイングアームの中に入っているやつ)が前に移動したことによって、ボルトの出幅が短くなってしまいました。
これの注意点は、左右均等に。
そしてきちんと直角を出さないとチェーンテンショナーのプレートが直角に当たらなくなって浮きます。
こんな感じで後端も真っすぐ削るのが難しいので、意外と根気のいる作業でした。
多分素人の手作業なので、ノギスやメジャーで同じ長さに合わせましたが、目に見えない誤差(コンマ数ミリ?)とか出ていると思われます。
1年街乗りやスポーツ走行を繰り返しましたが、これと言って不具合は無いのでDIYとしてはまずまず成功です。
ただ、バイクの動きや旋回性能に関してのメリットはあったのかと言えば疑問です。
そこで考えられる原因やメリットデメリットなどを挙げてみました。
スイングアームを短くするメリット、デメリット
メリットやデメリットを自分なりに体感して紹介します。
まずメリットは、ホイールベースが短くなることで旋回性能が上がることが期待されます。
街乗りではあまり意味ないかもしれませんが、ジムカーナでは小旋回でいかに最短距離を走るかという部分もあるので、可能な限り小回りしたいためです。
デメリットは結構あります。
- 正確にやらないとホイールのセンターが出ない。
- リアサスの動きが変わる。(レバー比の原理で)
- フロントフォークの動きまで変わる。
- タイムは。。。僕レベルでは全く変わらない。
ホイールベースを短くして小旋回
小旋回を行うには(沢山あるが)簡単に言うと2通りあると考えられます。
ひとつは①ハンドルを切って曲がる事。もう一つは②フォークを縮ませること。
そしてホイールベースが短くなるとフロントタイヤの軌道半径が小さくなるため、より小回りします。
ミニバイクがいい例です。
※フォークやリアサスを縮ませるという事はブレーキングやバンクさせるという事もあるので長くなってしまうため割愛します。
車体の落ち着きがないためフロントのサスも暴れる
リアが仕事をしないせいか、フロントフォークばかりぴょこぴょこ動きます。
そして沈んだらハンドルの切れ込みも鋭くなります。このあたりはホイールベースを短くした効果でしょう。
加速時の前後荷重はリアタイヤ寄りになってフロントフォークが浮きやすくなります。
突き出しをすると通常は良くても、沈み込んだらヤバいぐらい切れ込む車体に。
早い話がフロント重視な動きに感じ、スラロームなどコントロールしにくくなります。
そのままのセッティングで「スイングアームを短縮すれば小回りができる」と思ったらちょっと間違いです。
リアサスが沈みにくくなる、動きが弱くなる
アクスルからリアサス取付位置までの距離が短くなる。てこの原理で言うと短い工具でボルトを締めるときと同じ。
反対も同じでタイヤに荷重をかけるのが弱くなるという事。よってリアサス的には沈ませにくい状態ですね。
セッティングを変えないと沈みこみ自体は減る方向です。
(フィーリング的にはバネレートが高くなると似ています。)
プリロードを弱めたらいいのでは?
1G’時に沈む量を増やす⇒リアは沈みにくいのに常にリア荷重。
⇒スピードを出す所、街乗り、登りの峠ではアンダーで曲がりにくい。
伸び側ストロークが多いので前のめりになりやすい。
伸び側減衰を上げるんだよ
最大に締めると小旋回では落ち着きますが、スラロームや高速セクションでリアが沈みっぱなしになります。
リアの車高を上げればいいやん?
ナイトロンリアサス全開に上げております。
フォークの突き出しは?
10㎜ぐらい出しております。
バネレートを下げてプリをかける
僕の予想では体感10~20%ぐらいはバネレートが高くなっている模様。
そこで柔らかいバネに変えてプリロードで調整してちょうど良くなった感じ。
でもそれでは本来の「荷重をかける」という意味では逆効果。(車体は沈むがタイヤを路面に押し付ける力は弱くなる。)
ほんとバランスをどこに合わせたらいいのか分からなくなってきました。
アンチスクワットやアンチリフトはどう変わる?
- 赤:VTR短縮
- 緑:VTRノーマル
- 黒:CB250Rノーマル
【ホイールベース】
- VTR:1410㎜
- CB250R:1355㎜
(-55㎜)
参考にホンダCB250Rのスイングアームと比較して比べてみました。
バイクって基本的にスイングアームが足れているのが正常なんですって。
関連ページ:加速でリアが沈まない|バイクの系譜
加速時にリアが沈まないようにするのがアンチスクワット、減速時はアンチリフトで伸びを抑制させる。
なのでスイングアームは基本的に足れさせたままで居させたい。
そこでスイングアームを長くすると姿勢変化が小さくなるのでアンチスクワットもアンチリフトにおいても効率がいい。
マシンコントロールはやりやすいと言われています。最近のバイクの主流ですね。
逆に意図して短くすると今まで以上にスイングアームを動かす方向になるので、結果としてやっぱりいい考え方では無さそう。
ホイールベースを短縮すれば旋回性能が上がるとは限らない
スイングアーム(ホイールベース)を短縮したラ全ての面で旋回性能が上がるとは限りません。
というのも、確かに低速旋回のターンは小回りできるようになりましたが、それ以外が全然ダメ。
前後バランスがかなり悪くなります。
コーナーって、進入、セルフステア、立ち上がりなど総合的にサスや身体を使って曲げていかなければ速くは走れません。
ブレーキングでリアが滑ったりフロントフォークが跳ねたり、バンクしにくかったりハンドルが切れすぎて転倒したり…
そんな事では話になりません。
ホイールベース云々の前にもっと重要な車体バランスというものを損なってしまっては意味がないです。
ビッグバイクやモタード、ほかの車両はどうかわかりませんが、VTR250でアクスルシャフトをたかだか30㎜前にずらしただけでも動きが変わりました。
コントロール性を損ないやすくなるのも、スイングアーム短縮のデメリットではないかなと思います。
(マシンセッティングを詰めれば解決できる可能性は十分にあり。)
タイヤサイズによってスイングアームに当たる
最後に一番の問題点はタイヤが入らない可能性があるという事。僕は2コマ(1リンク)詰めています。外プレートと内プレート1枚ずつ。
150/60-17(612㎜)のサイズで合わせていると140/70-17の純正サイズ(628㎜)でパツパツ、150/70-17(642㎜)では取り付けすらできません。
スプロケの丁数とチェーンのコマとの相性なのでもっと伸ばせば大丈夫ですが、苦労の割にあまり変わらない結果になります。
更にこれ以上詰めている方もいますが、次はリアサス取り付け部分の根元の切断加工が必要になってきます。
※VTRはプレート2枚で支えるだけになるため、ねじれや横の強度が落ちるらしいので僕はこの辺で終わりにしておきます。
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